第14回成安造形大学卒業制作展

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京都市美術館別館

今日は映像メディアクラス(CG・アニメーション)の卒業制作の成績評価のため、もう一人の卒業制作担当の森公一先生とすべての作品を見ていきました。映像は15作品、ゲームは2作品の出展です。

CGクラスは今年も一定水準以上の作品が揃ったと思います。贔屓目も入っているかもしれませんが、成安の卒制は高水準だと思います。ほんとたくさんの人に見て欲しいんですよね。でも、大きな美術系大学と比べて認知度は劣るのでそこが歯がゆいところ。どうやったら、もっと知ってもらえるんでしょうか。

映像メディアクラス CG・アニメーションコースの各賞は、以下の通りです。毎年、賞の選考は非常に悩みます。また学生からの苦情も毎年きます…。アニメーションやゲームの作品は制作に非常に時間がかかり、ほぼ1年ほど使ってやってますので、みな思い入れも強いのだと思います。

優秀賞

「Hunting」
天谷考宏+榊原卓

これは、躊躇なく決めました。安定したクオリティでしっかりと完成しきっています。テーマ性と表現が一定水準以上のクオリテイを持っていました。「ポリゴン」を意識した造形になっており、3DCGアニメーションの特性をうまく表現に昇華しています。また、フラットでビビットな色彩も美しくまとめられていて魅力的です。何を使って表現するか、どのように使うか。これを意識して制作している人は少なかったのではないでしょうか。このレベルにまとめられた作品は他にはないと判断し、優秀賞としました。

奨励賞

「nuisance」
中村亜樹

中村さんの作品も高品質なCGアニメーションとして抜きん出ていたと思います。古いものをゴミとして認識する掃除機が巻き起こす事件を描いたものですが、そのアイデアが秀逸です。古いものはゴミとして捨てられる。お婆さんも古いものだから、機械から見ればゴミとして認識されてしまう、このロジックは面白いです。また、キャラクターの造形が魅力的です。おじいさんもおばあさんもいいキャラが出ています。しかし、この作品はHuntingと比べると荒削りな感じがします。シェーディングがザワザワしていたり、動きや編集も微妙に外していてもったいないという感があります。部屋の作りなども本来もっと作り込むべきだと思います。3DCGアニメーションとしてスタンダードな作りで高品質に作りあげた作品ですが、、不備な部分を感じるところもあり、優秀賞には届かないかなと思いました。

奨励賞

「さしみWARS」
真木靖子

非常に楽しい作品です。アニメーションが本来もつ「絵が動く面白さ」が生きています。話に深みなどはあまりないですし、テーマ性などもあまり感じません。本来動くはずのないものが動くという面白さがうまく引き出されていること、登場するキャラクターたちが魅力的に映ることを評価しました。女の子の表情も好感が持てます。テーマ性やストーリー性を追いかけるあまり、忘れがちである「アニメーションの面白さとは何か」を考えさせてくれるのではないでしょうか。

佳作

「さい・まだ」
金井圭

この作品の賞選考において、申し訳ないという気持ちです。実は今日はじめてまともに鑑賞させてもらいました。非常に面白かったです。設営の時に作品を見させてもらったとき、DVDの調子が悪く、カクカクでほとんどまともに鑑賞できない状態でした。ただ、面白そうだなーということは伝わってきたので佳作としました。今日ちゃんとした映像を見たところ、想像以上に良い作品でした。考えさせられるテーマとストーリー、そしてそれが心に響いてくるシルエットのアニメーションと朗読。また、その絵は高品質に作られていて綺麗でした。編集・演出的にも的確に行われていました。もし、設営のときちゃんと見れていたら、賞の順番は変わっていたかもしれません。作品賞、もしくはテーマ賞というのを設定するとすればこの作品でしょう。どこで発表しても恥ずかしくない作品です。

教員特別賞

「ジラ」 福本絵美子

「Tin Soldier」矢野由以子

大学の正式な賞ではありませんが、この2作は奨励賞、佳作と同レベルの表現クオリティを持っているのですが、賞の数は限られているため、急遽設定しました。この2つの作品も非常に面白いので是非見てください。ジラはドラマ賞、Tin Soldierは描画賞といっていいかと思います。

日曜日までやってますので、ぜひご来場ください!

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今日の朝から卒展開始

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昨日は設営最終日ということで、ライティングやったり細かいセッティングしたりしてました。DVD上映に不具合が見つかりその対応策を考えるなどしないといけないところですが、まぁ、とりあえずは問題ないだろうという感じです。

CG・アニメーションクラスからは、15の映像作品と2つのゲーム作品が展示されます。映像作品は提出がかなり遅れどうなるかわからない状態でしたが、なんとか上映までこぎつけました。ただ、DVD制作が遅れたこともあってか設営時に不具合が見つかったりしたのは残念でした。みんな駆け込みで提出してたけど、それではデバッグ作業ができない…。みんな製品作った事ないから完成後のクオリティチェックやデバッグ作業に時間をかけるということに考えが及んでいないんだろう。まぁ、経験したことないから仕方ないんでしょうが。

作品にも時間の足りなさから作りきれていない部分が現れたりしていますが、全体を通して見た感想としては、悪くはないと思います。この全体を見終わった後のクオリティ感は毎年少しづつ上がってきていると感じています。個々の作品はバラバラなので、良かったり悪かったりなのですが、全体的には上がってきているんですよね。イイ傾向だと思います。しかし、今年の4年生は潜在的パフォーマンスは結構なものを持ってると思うんですが、自分の中のリミッターを外せてない人が多いんですよね。勿体無いなー。何かきっかけがあれば化けそうな人は結構います。

で、優秀賞、奨励賞、佳作を決めました。これは、毎年メチャメチャ悩みます。飛び抜けていいのが賞の数だけあれば悩まなくていいんですが、そううまくいくはずもなく。賞をつけると、もらった人は励みになるでしょうけど、それなりに自信があったのにもらえなかったという人も出てきます。仕方ないとはいえ、心苦しいんですよね。もらえなかった人、ごめんなさい。今回はいいのが多かったんで正直なところ選べなかったです。この作品に賞がいくなら、この作品ももらえてもいいのに…っていうのがいくつかありました。正直なところ、作品の優劣をつけるというのは無理があります。選考基準によっていろいろ変わってくると思いますが、ぶっちゃけ印象の良さが大半です。絵のクオリティ、テーマ性、ストーリー性、感情面にどれだけ訴えかけてくるか、などの総合での評価です。製作中の頑張りも考慮しようかと思ったんですが、今回はそれをあまり考慮せず、作品のみで考えました。あの人あんなに頑張ってたのに…、いやむしろ私すごい頑張ったのに!っていう意見もありそうなんですけど、どこかに視点を定めないと決められないんで。その結果は会場で確かめてください。

CG・アニメーションの15作品の上映時間は1時間45分ほどです。それに加えてゲーム作品2つなので、全部ガッチリ見ようと思うと2時間とちょっとかかりますね。その辺考慮の上ご来場ください!

第14回成安造形大学卒業制作展

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さて、1月20日(水)から成安造形大学の卒業制作展が始まります。
ぜひ、たくさんの方に見ていただきたいなと思います。
以下、成安の卒展告知です。また、他大学の卒展のスケジュールもまとめておきます。

第14回成安造形大学卒業制作展

  • 会期: 2010年1月20日(水)~1月24日(日)
  • 時間: 9:00~17:00(最終日は16:00まで)
  • 会場: 京都市美術館(本館・別館)
    • 京都市左京区岡崎円勝寺町
    • Tel:075-771-4107
    • 市バス「京都会館美術館前」下車すぐ
    • 地下鉄東西線「東山駅」下車徒歩10分
    • 地図
  • CG・アニメーション、映像・放送、写真、グラフィックデザインは、京都市美術館『別館』での展示となっています。本館とは別の建物ですので、ご注意ください。
成安造形大学卒業制作展チラシ

成安造形大学卒業制作展チラシ

京都市美術館 芸術大学卒展スケジュール

大阪芸大の卒展についてWEBの方に記述がなかったので、ちょっとわかりませんでした。結果的に京都市美術館だけの卒展スケジュールになってます。

  • 1/20 – 1/24 成安造形大学卒業制作展
  • 1/27 – 1/31 京都精華大学卒業修了制作展
  • 2/03 – 2/07 京都嵯峨芸術大学・短期大学第38回制作展
  • 2/10 – 2/14 京都市立芸術大学作品展
  • 2/17 – 2/21 大阪成蹊大学芸術学部卒業制作展
  • 2/24 – 2/28 京都造形芸術大学卒業制作展