今日は映像メディアクラス(CG・アニメーション)の卒業制作の成績評価のため、もう一人の卒業制作担当の森公一先生とすべての作品を見ていきました。映像は15作品、ゲームは2作品の出展です。
CGクラスは今年も一定水準以上の作品が揃ったと思います。贔屓目も入っているかもしれませんが、成安の卒制は高水準だと思います。ほんとたくさんの人に見て欲しいんですよね。でも、大きな美術系大学と比べて認知度は劣るのでそこが歯がゆいところ。どうやったら、もっと知ってもらえるんでしょうか。
映像メディアクラス CG・アニメーションコースの各賞は、以下の通りです。毎年、賞の選考は非常に悩みます。また学生からの苦情も毎年きます…。アニメーションやゲームの作品は制作に非常に時間がかかり、ほぼ1年ほど使ってやってますので、みな思い入れも強いのだと思います。
優秀賞
「Hunting」
天谷考宏+榊原卓
これは、躊躇なく決めました。安定したクオリティでしっかりと完成しきっています。テーマ性と表現が一定水準以上のクオリテイを持っていました。「ポリゴン」を意識した造形になっており、3DCGアニメーションの特性をうまく表現に昇華しています。また、フラットでビビットな色彩も美しくまとめられていて魅力的です。何を使って表現するか、どのように使うか。これを意識して制作している人は少なかったのではないでしょうか。このレベルにまとめられた作品は他にはないと判断し、優秀賞としました。
奨励賞
「nuisance」
中村亜樹
中村さんの作品も高品質なCGアニメーションとして抜きん出ていたと思います。古いものをゴミとして認識する掃除機が巻き起こす事件を描いたものですが、そのアイデアが秀逸です。古いものはゴミとして捨てられる。お婆さんも古いものだから、機械から見ればゴミとして認識されてしまう、このロジックは面白いです。また、キャラクターの造形が魅力的です。おじいさんもおばあさんもいいキャラが出ています。しかし、この作品はHuntingと比べると荒削りな感じがします。シェーディングがザワザワしていたり、動きや編集も微妙に外していてもったいないという感があります。部屋の作りなども本来もっと作り込むべきだと思います。3DCGアニメーションとしてスタンダードな作りで高品質に作りあげた作品ですが、、不備な部分を感じるところもあり、優秀賞には届かないかなと思いました。
奨励賞
「さしみWARS」
真木靖子
非常に楽しい作品です。アニメーションが本来もつ「絵が動く面白さ」が生きています。話に深みなどはあまりないですし、テーマ性などもあまり感じません。本来動くはずのないものが動くという面白さがうまく引き出されていること、登場するキャラクターたちが魅力的に映ることを評価しました。女の子の表情も好感が持てます。テーマ性やストーリー性を追いかけるあまり、忘れがちである「アニメーションの面白さとは何か」を考えさせてくれるのではないでしょうか。
佳作
「さい・まだ」
金井圭
この作品の賞選考において、申し訳ないという気持ちです。実は今日はじめてまともに鑑賞させてもらいました。非常に面白かったです。設営の時に作品を見させてもらったとき、DVDの調子が悪く、カクカクでほとんどまともに鑑賞できない状態でした。ただ、面白そうだなーということは伝わってきたので佳作としました。今日ちゃんとした映像を見たところ、想像以上に良い作品でした。考えさせられるテーマとストーリー、そしてそれが心に響いてくるシルエットのアニメーションと朗読。また、その絵は高品質に作られていて綺麗でした。編集・演出的にも的確に行われていました。もし、設営のときちゃんと見れていたら、賞の順番は変わっていたかもしれません。作品賞、もしくはテーマ賞というのを設定するとすればこの作品でしょう。どこで発表しても恥ずかしくない作品です。
教員特別賞
「ジラ」 福本絵美子
「Tin Soldier」矢野由以子
大学の正式な賞ではありませんが、この2作は奨励賞、佳作と同レベルの表現クオリティを持っているのですが、賞の数は限られているため、急遽設定しました。この2つの作品も非常に面白いので是非見てください。ジラはドラマ賞、Tin Soldierは描画賞といっていいかと思います。
日曜日までやってますので、ぜひご来場ください!
コメントを残す